第148章 小林家のお嬢様

川西希は、周囲の空気がどこかおかしいことに気づいたのか、無邪気な小さな顔をぱっと上げた。瞬きもせずに水野佑奈を見つめ、次の瞬間、澄んだ声を弾ませる。

「佑奈おばさん、わたしも海外に行きたい。海外の景色、見てみたいの。それに、佑奈おばさんとおじいちゃん、おばあちゃんのそばにいたい」

その無邪気な顔を見た途端、水野佑奈は断ろうとしていた言葉が喉の奥でつかえた。口を開いても、どうしても「だめ」と言えない。

それを見て、川西拓海の頭の中で素早く段取りが組み上がる。

「じゃあ、こうしよう。川西希ももうすぐ夏休みだろ。ちょうどいいし、向こうで少し遊ばせてもいい」

言いながら、さらりと続けた。

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